「WBCって何?」なオーストラリアの野球事情
日本では選手の活躍や白熱した試合内容が、連日メインニュースとして報道されていたワールドベースボールクラシック(以下、WBC)。オーストラリアもその出場国でしたが、試合結果はおろかWBCの存在すら、大半の国民が知らないようです。そんなオーストラリアの野球事情をお伝えします。
WBCもみんな知らない?野球に関心のないオーストラリア
著者:オーストラリアgramフェロー 平澤 歩
公開日:2023年4月4日
「WBCって何?」なオーストラリア
3月21日まで行なわれていたWBC2023で、オーストラリアは日本と同じく1次ラウンド・プールBで戦い、日本と共に準々決勝に進出しました。オーストラリアのWBC1次ラウンド突破は初めてで、これは2004年アテネ五輪で銀メダルを獲得して以来の快挙ともいえる成果でしたが、国内のテレビニュースやWEBニュースでとりあげているメディアはほぼ皆無でした。
「WBC Australia baseball」などと検索してみても、オーストラリア国内の記事は試合日時や出場選手などのデータが記載されているだけの記事ばかりで、試合内容について詳細をとりあげた記事は野球に関心の強いアメリカや日本が作成したものが大半です。
実際、オーストラリアに住んでいてWBCの話題を耳にすることが全くなく、一部の在豪日本人が試合結果を気にしている程度でした。日本の野球特番で、WBCを知っているかどうかオーストラリアで街頭インタビューしたところ、知っている人は皆無だったという話もあります。
WBCでオーストラリア初の準々決勝進出が決まったのに、ABCが記事1本だしてるだけで、無視してんの?ってくらい他局はだんまり。まさか野球知ってる記者がいないから記事書けないとかじゃないよね?? https://t.co/ZV0FRqzHjv
— Miki Hirano (@mikihirano) March 13, 2023
野球選手の年俸はなんと数十万円
オーストラリアには2010年に発足した「オーストラリアン・ベースボールリーグ」というプロ野球リーグがあり、ニュージーランドのチームを含む8チームが所属しています。オーストラリアの夏にあたる11~1月に計40試合と決勝リーグが行なわれます。
プロ野球リーグがあるとはいえ、マイナースポーツである野球の選手業は、夏季限定の季節労働的な側面があり、試合にフル出場するような選手でも年間数十万円程度の年俸となっています。ただでさえ日本より物価の高いオーストラリアでは、当然野球選手業の収入のみでは生活できないため、ほとんどの選手は普段は会社員として働いて生計をたて、週末のみプロ野球選手として試合に出場しています。日本の独立リーグの選手のようなイメージで、「プロ野球」とは言いつつもプロとアマチュアの中間にあたります。
オーストラリアプロ野球リーグ
— dadada (@evo7x) December 26, 2022
・シーズン約4ヶ月で40試合制
・1試合のギャラが5000円~7000円
・平均年俸は30万円弱とオッサンの週末バイト
・当然生活出来ないので本業は他にあり
※オーストラリアは物価高でラーメン一杯2000円以上
日本人選手もプレーしている
「オーストラリアン・ベースボールリーグ」のシーズンは11~1月と、日本のプロ野球リーグのオフシーズンにあたるため、日本のプロ野球選手がトレーニングを兼ねて「オーストラリアン・ベースボールリーグ」の選手として無償で活動することもあります。若手選手の他、杉谷拳士選手や菊池雄星選手などもプレーしていました。
【スギノール】日本ハム・杉谷拳士、今季初スタメンで1号同点ソロhttps://t.co/tE4idxX2zY
— ライブドアニュース (@livedoornews) June 27, 2020
オフにオーストラリアで自主トレを行っている杉谷は「カンガルーパンチ炸裂しました。引き続きビーストモードをキープできるように集中してプレーします」と振り返った。 pic.twitter.com/A7HkwZZUTf
まとめ
フットボール・ラグビー・クリケットなどが人気で、野球はまだまだマイナースポーツであるオーストラリア。しかし、たびたび世界大会でも強豪国を下すなど、その実力は今後伸びしろがありそうです。
【引用】
◇World Voice:
https://www.newsweekjapan.jp/worldvoice/hirano/2023/03/post-78.php
◇ORANGE JOURNAL:
https://yochi-orange.com/australia-baseballteam/