日本の製造業の有望な事業展開先でマレーシア7位にUP

マレーシア

国際協力銀行(所在地・東京都千代田区)が2022年末に発表した、海外に拠点を持つ製造業企業の海外事業展開の動向に関するアンケート調査の報告によると、これから3年の中期的な有望な事業展開先の国・地域ランキングで、マレーシアの順位が前年の9位から7位にアップしました。コロナ禍からのいち早い回復で得票率が増加に転じたことと、他国の得票率等の下落も起因してのランクアップとなりました。

今回は、この記事を紹介するとともに、マレーシアの投資環境について改めて解説します。

日本の製造業の有望な事業展開先でマレーシア7位にUP

   著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon 
公開日:2023年2月3日

1989年から実施の調査

同調査は、海外現地法人を3社以上(うち、生産拠点1社以上を含む)を有する日本企業946社を対象に7月12日から9月2日にかけて実施したもので、今後の展望を把握する目的で1989年から実施されており、今回で34回目となります。

2022年の調査では、「中期的な事業展開姿勢」「中期的な有望事業展開先国・地域」「事業実績評価」「などの定例のテーマに加え、「ウクライナ侵攻の影響」「サプライチェーンと地政学リスク」「サステナビリティに向けた取り組み」などについてアンケートが行われました。
(出所:JBICホームページ  https://www.jbic.go.jp/ja/information/press/press-2022/1216-017128.html

調査結果

調査結果は
 ●製造業の海外事業展開はコロナ禍からの回復の兆しが見られる
 ●約9割の企業がウクライナ侵攻でマイナスの影響をある
 ●ランキングでは3年ぶりにインドが首位で中国は得票率を大きく落とし2位
 ●約9割の企業が事業戦略において地政学リスクの重要性が増していると感じている
 ●約8割の企業がサステナビリティを考慮し、脱炭素については75%の企業がすでに取り組みに着手済

となっており、やはり2022年はこれまでの数十年の中では非常に特異な年であったことが調査結果からも見られます。

マレーシアに対する評価

事業のリスク分散のための拠点として、マレーシアは魅力ある都市との評価が高まりつつあるとされています。

有望な投資先として評価された理由に、市場の成長性に対して根強い期待があることだけでなく、「第三国への輸出の拠点 として」「組み立てメーカーへの供給の拠点として」「他国のリスク分散の受け皿とし て」の評価向上の傾向がみられます。長期化する米中摩擦やウクライナ危機の中、事業のリスクを分散するための拠点としての期待の高さがうかがえる結果になっています。

マレーシアは、今後10年の長期的な有望な事業展開先の国・地域ランキングでも、前年の12位から9位となりトップ10入りしています。

マレーシアの課題

課題としては「他社との厳しい競争」「労働コストの上昇」「管理職・技術系人材の 確保が困難」が挙げられ、事業拠点としての魅力は高い一方、採算性や人的資本などの面での課題が明らかになっています。

マレーシアが注目に値する理由

最後に改めてマレーシアが投資先として優位性を挙げてみます。
  • ●ASEANの優等生として確実に成長していて、インフラ整備も整い、高度なスキルを持つ人材基盤も整い、サービス業の占める割合が2017年に52%となり、知識産業化が進んでいる
  • ●日本と長く親しいの関係を維持していて、以前記事でも紹介したように「東方政策(ルックイースト政策)」を提唱して開始されてから、すでに40年経過
  • ●旧宗主国がイギリスであったことから英語が準公用語で、日本人の片言英語で通じる安心感
  • ●ASEANにおけるハブとしてビジネスに適した環境であり、TPPも批准しており、国際的な貿易国として重要性が上昇
  • ●イスラム教徒は2030年には22億人になると試算されていて、マレーシア政府は、イスラム世界において最も信頼性が高いハラール認証制度を運営していて、イスラム圏へのゲートウェイとして最有望

コロナ禍で、予測不可能な危機的状況に対する意外なほどの対応力、順応力を見せつけ、危機を回避しつつあるマレーシア。さらに多くの企業や人々の進出が見込まれます。

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