エストニアの首都タリン、2023年の欧州グリーン首都に選出!環境重視の街の魅力とは?
エストニアの首都タリンが、2023年のEuropean Green Capital(欧州グリーン首都)に選ばれた。このプロジェクトは、環境に配慮した都市を表彰するために行われ、欧州内の都市から毎年ひとつが選ばれる。タリンでは今年度のうちに約60のイベントが行われる予定で、いくつかは既に終了しているが今後もまだまだイベントが控えている。欧州では他にも様々なプロジェクトが進んでいて、これらのプロジェクトはより良い社会を築くために欧州内のあちこちで開催される。
2023年の欧州グリーン首都はエストニア
著者:エストニアgram fellow さえきあき
公開日:2023年6月20日
欧州グリーン首都とは
欧州グリーン首都賞のプロジェクトの発祥は、2006年にエストニアのタリンで行われた会議である。環境に配慮した都市生活をリードしている都市を表彰するために、欧州15都市とエストニアの都市協会がとったイニシアチブが元である。このような持続可能な社会を目指したプロジェクトはEU内に数多く存在し、欧州グリーン首都はサステイナブルな社会を目指す取り組みのひとつである。
都市選出のための評価項目は公表されており、誰でも確認できる。
このプロジェクトでは、毎年欧州内の応募のあった都市の中から「欧州グリーン首都」を選定する。この欧州グリーン首都に選ばれると、年間を通じて様々なイベントが行われる。今年タリンで予定されているイベントは、その数約60にもなる。
2022年はフランスのグルノーブルが選ばれ、2024年はスペインのバレンシアが選ばれる予定だ。
既に終了したイベントもあるが、この1年が終わるまでは続々とイベントや取り組みが行われる。6月最終日に行われる歌とダンスの祭典は、Environmentally friendly(環境に優しく)を目標にすることが公表されている。
(参考:Tallinn European Green Capital 2023
https://greentallinn.eu/en/events/environmentally-friendly-youth-song-and-dance-festival/)
緑が意外と多い国
ではなぜ今年、タリンが選ばれたのか。エストニアといえばインターネット黎明期にP2P技術を利用した無料音声通話ソフト開発した企業Skype発祥の地と知られており、IT産業で有名な国である。観光地として有名なタリンの旧市街は、鮮やかなオレンジのレンガ屋根と中世の欧州らしい石畳で構成されており、賞が与えられるような緑豊かな都市のイメージとはかけ離れている。
しかしながら、エストニアはIT先進国のイメージとは裏腹に、意外にも日本人の想像以上に自然豊かな国だ。国土の約57%が森林で覆われている。生えている木の種類は主に、スプルース、バーチ、パイン、アスペンなどの落葉広葉樹で、日本では馴染みがないが北欧諸国ではよく見られる木だ。
行政が管理する森林エリア(RMK)も国内の至る所にあり、背の高い木々に囲まれてエリア内をハイキングし放題という環境が整っている。
筆者はエストニアの第2の都市、タルトゥに住んでいるが、一歩市の外に出るとそこから森林と畑が延々と続く。車でタリンからタルトゥまで行くと、エストニアの平坦な国土に広がる針葉樹たちがこれでもかというほど生えている。
○○都市が毎年生まれる?
欧州内で何かプロジェクトの中心地を決めてそこを拠点に活動をしていくというのは、このグリーン首都に留まる話ではない。最も有名なものだと「欧州文化都市」プログラムで、毎年欧州内から3つの都市が選定され、選ばれた都市では文化芸術イベントが多数行われる。
ちなみに2024年の欧州文化都市のひとつにエストニアのタルトゥが選出されており、既に市の中心広場には写真撮影用オブジェクトが設置してあったりと待ちきれない雰囲気が出ている。
このように、欧州内にはより良い社会を目指したり国を越えて楽しめるプロジェクトが複数あり、どの国・どの都市にも均等にイニシアチブをとる機会が与えられている。
(参考:European Commision Applying for EU Green Capital (europa.eu)
https://environment.ec.europa.eu/topics/urban-environment/european-green-capital-award/applying-eu-green-capital_en)
(参考:European Commision Tallinn starts as 2023 European Green Capital(europa.eu)
https://environment.ec.europa.eu/news/tallinn-starts-2023-european-green-capital-2023-01-20_en)
まとめ
欧州はひとつひとつは大きくない国がほとんどだが、このように欧州全体で取り組むプロジェクトやイベントが企画されることが多々ある。選ばれた都市や国の人たちが自分のホームタウンのことを誇りに思えるだけでなく、関連するイベントによって観光業が栄える可能性もあり、有意義なプロジェクトになることが見込まれる。
既に2023年も半分が経過しているが、残り半年、タリンがグリーン首都の間に行われる取り組みに注目だ。