ドイツでのコロナ禍の真実!当事者が語る外出制限と感染拡大の一部始終
2023年現在、以前の落ち着きを取り戻しつつあるドイツは、新型コロナウイルス感染症によって世界中が混乱した時期を経験してきました。この記事では、ドイツでのコロナ禍当時の様子を現地視点からまとめています。記事には、ドイツで最初に感染者が確認された日や、ロックダウンによる制限など、コロナに関する重要な情報が含まれています。また、筆者自身がコロナに感染した時の体験や、マスク着用が義務化される前に生じた外出制限についても述べられています。これらの情報は、ドイツに住む人々だけでなく、コロナ禍に関心を持つ人々にとっても興味深いものとなっています。
(※ドイツは州により様々な条例が異なります。記載は主に筆者の住むドイツ中央部での事例になります)
ドイツ、新型コロナウイルスの現在(仮)
著者:ドイツgram fellow 千葉 よう
公開日:2023年2月15日
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コロナの始まり、ドイツでの借置
2019年12月初旬、中国の武漢市で最初の感染者が報告された。
そのウイルスは瞬く間に世界中に広がり、大流行となった。 日本国内では翌年2020年1月15日に最初の感染者が確認され、1月15日 ~ 5月12日の間に合計15,854人の感染者、668人の死亡者が確認された。
同じく2020年、1月27日ドイツのバイエルン州ミュンヘンで最初の感染者が確認された。
感染報告からバイエルン州の迅速な隔離処置、濃厚接触者への素早い対応により、ドイツは一時的にコロナウイルスを封じ込むことに成功したが、すでに欧州中に広がりつつあり、ドイツ全土に広がるのも時間の問題だった。
2月15日:隣国フランスで欧州初のコロナウイルスによる死者を確認。
2月23日:ヨーロッパで最も被害の大きいイタリアが北部の都市を封鎖。連邦政府に危機管理チームが新設された。
3月2日:ドイツのザクセン州とテューリンゲン州内で再び感染者の報告がされた。4日にはライプツィヒで行われる本の祭典が中止される等、ドイツ国内にも再びコロナが広がり始めた。
3月6日:ドイツザクセン州では修学旅行を全て禁止、この頃にドイツ全土で「Hamsterkauf ハムスター買い(買い占め)」がはじまる。
3月8日:ドイツで初めての死者が確認された。死亡した男性は一週間前にエジプト旅行をしていたそうだ。
3月11日:WHOがパンデミックを宣言。
3月16日:ドイツのほぼ全ての連邦州で学校と保育所が閉鎖。
3月17日:筆者の住むヘッセン州で全ての娯楽、レジャー、スポーツ施設の封鎖、飲食店等の時短営業の告知。
終わりの見えないロックダウン
3月18日:ドイツのアンゲラ・メルケル前首相は、演説でコロナウイルスによる連帯と規律、社会的接触は最低限に抑えるよう、国民に求めた。
EUは入国を禁止し、連邦外務省は160,000人以上のドイツ人に帰国を呼びかけた。
3月21日以降:ヘッセン州ではすべての飲食店で店内飲食を禁止、持ち帰りのみ営業可能となった。
3月末:ドイツ国内で67,000人以上の発症と680人以上の死亡者が報告されている。
4月27日以降:全ての連邦州でマスク着用が義務化された。公共機関や店舗でマスクの着用をしていない人は引きずり出される様子を、筆者は目の前で何回か目撃した。
この頃は必要外の外出も禁止され、警察官や警備員の方が駅周辺で2人以上で固まっていないか、マスクを着用しているか、(※)必要外の外出ではないか等パトロールする動きがあった。(※郵便、薬局、スーパー等生活最低限以外の外出の禁止)
筆者も通勤の際にはマスクの着用をしっかり守っていたが、職場最寄駅のバス停で止められた。出勤中である旨を伝えると、「大変だけど頑張ってね」と言ってもらえたことを今でも覚えている。
仕事に行くという理由があり、マスクも正しく着用していたので快く対応していただいたが、すぐ後ろにいた高校生位のカップルはマスクをしておらず、必要外の外出とみなされたのか、のちに警備員と怒鳴り合いの喧嘩に発展していた。
複数人で座れないように可愛らしく措置されていた。
5月2日:ドイツ中部で「新型コロナウイルスによる借置について」、数百人が同時に大規模なデモを行った。厳しいロックダウンに対してドイツ国民の我慢は限界に達していたからだ。
スーパーは時短営業が続き、服屋、雑貨屋等の店も封鎖され、外を無意味に歩くことも禁止され「ロックダウン鬱」という言葉をよく耳にする程に皆疲れきっていたのだ。
5月13日:ドイツの対外国境での緩和を決定、この頃から各地で徐々に緩和の動きが始まる。
5月18日:約8週間の強制ロックダウン後、ザクセン州とテューリンゲン州のデイケアセンターにて通常業務が再開。
6月5日:EU内務大臣は同年7月1日までにEU間の移動を自由に戻すことに同意。
各地でデモが多発したこともあり 6 ~ 7 月には多少規制が緩和され、店舗は入店制限などを設けつつも再び営業を再開し、人々はコロナが終息に向かっていると思っていた。
7月25日:ザクセン州首相ミヒャエル・クレッチマーによると「第2波がドイツ国内で始まった。保険当局はよく機能しているが、感染源が至る所にあり、非常に高い数になる可能性がある」と述べた。
8月1日:ドイツで5月以来初めて1日あたり1000人を超える新規感染者が報告された。
アンゲラ・メルケル前首相はこれ以上の緩和は不可能と判断。
8月21日:ドイツ鉄道はマスク着用の義務化を再度徹底、抵抗者に対する予防チームを展開。
この辺りから、マスクはFFP2もしくはKN95の医療用マスクのみ着用可となった。
布マスクや認可されていないマスクは違反となり、マスク着用に関するルールが再び非常に厳しくなった。
9月4日:隣国フランスでは毎日約9000件の感染報告が上がるなど、秋ごろには第2波が瞬く間にEU全域へ広がった。
9月中旬:4月以降初、ドイツでの感染者が1日に2000人を超えるようになり、9月末には再びバイエルン州などで小規模ロックダウンの再開。
10月8日:ドイツ国内で更に増加し、1日で4000人以上の新規感染者が報告された。
10月15日:1日あたりのドイツ国内新規感染者数が6000人を超える。
10月末:ドイツでのコロナ死者数が1万人を突破。
連邦政府及び州政府が再び「部分的なロックダウン」を決定。
仕方ないのだが、再びドイツ国民は行動に制限がつくようになってしまった。
11月2日:ドイツ全土で文化施設やレジャー施設、レストラン、ホテルは11月末まで再び閉鎖。
11月6日:連邦政府はヨーロッパのほぼ全域を危険地域に分類。
11月25日:連邦及び州政府は当初、11月末まで適用されていた「部分的ロックダウン」を延長及び強化することを決定。
12月2日:連邦及び州政府は感染者数が充分に減少していないため、部分的ロックダウンを翌年2021年1月10日まで延長すると決定。
12月19日:とうとうドイツ全土で31,553人の新規感染者が報告された。
12月27日:新型コロナウイルスの予防接種が全国で開始、お年寄りの方や医療関係者から優先的に予防接種が始まる。 2021年以降は予防接種が広まり、新規感染者数が落ち着きを見せたためロックダウンなどは徐々に緩和された。
(参考:mdr https://www.mdr.de/nachrichten/jahresrueckblick/corona-chronik-chronologie-coronavirus-102.html)
だが、入店制限は継続され、ワクチン接種証明もしくは接種証明アプリのQRコードが飲食店などのほぼ全ての店舗で提示必須となり、未接種者はレストランに入店すらできなかった。
筆者は当時、ドイツのスーパーに勤めていたのだが、職場のドイツ人のおばちゃんがある日控え室で大泣きしていたのを覚えている。
彼女は当時まだワクチンを怖がり、接種をしていなかった。
その件により今後医療的な理由もなく接種しないのなら彼女の就労が難しいとの話を雇用者からされ、長年勤めていた職場から実質「ワクチン未接種によるクビ宣言」のようなものをされていた。
涙を拭くものを渡して落ち着くように諭したが、彼女は筆者に抱きつき子供の様にわんわん泣いていた。その後彼女はほかの同僚からの助けもあり予防接種を受けて、1ヶ月後に職場復帰を果たしたのだが、おそらくこの様な事態は当時はドイツ全土であっただろう。
筆者にとっても非常に印象的な出来事だった。
日本と比べ、ドイツの措置は「禁止、義務化」などの強い表現で厳しいものが多かったように感じる。
そして国民性も関係しているのか、ほとんどのドイツ国民が不満はあれど真面目にルールを守っていた印象だ。
実際にコロナに感染して
2023年2月2日以降:ドイツヘッセン州で公共機関でのマスク着用義務がほぼ全て解除された(病院、介護施設等を除く)。
2022年11月23日にはすでにコロナウイルス感染者を自宅隔離する義務は無くなっていたのだが、公共機関での医療用マスク着用義務はヘッセン州ではずっと続いていた。
(引用元:ヘッセン州公式HPより https://hessen.de/handeln/corona-in-hessen)
そんな世界を騒がせたコロナウイルスだが、落ち着きを見せていた2月初旬、筆者と家族がコロナに感染した。
はじめに配偶者が喉の痛みと発熱を訴え、簡易検査をして陽性が判明、一気に高熱になり寝込んでしまった。
筆者も簡易検査をしたところ陰性ではあったがおそらく感染していると判断し、その後のすべての予定をキャンセル、1週間弱家に籠城する事を決めた。
幸い配偶者は1日で熱が下がりその後は驚くほど元気だったのだが、翌日筆者が陽性反応。そこから3日ほど高熱が下がらず起き上がることすらできなくなってしまった。
意識はあるが全身の痛み、寒気と発熱を繰り返し、喉の痛みで何も喉を通らなく、甘味以外が全くわからない味覚障害及び嗅覚障害。おそらく同じウイルスなのだがこんなにも症状が違うのかと驚いた。
そして配偶者は後遺症も残らず1週間もしないうちに完全復活を遂げたが、筆者は1ヶ月以上たった現在でも若干の咳と嗅覚障害が消えない。
コロナに対する現在
2023年3月1日:ヘッセン州ではほぼすべてのコロナ規制が解除された。
人々の認識も、”未知の危険なウイルス”から”インフルエンザのような少し強めの風邪”と認識が変わった。
長く終わりの見えないロックダウン生活をしていた2020年。
予防接種が広まり少しづつ緩和はされたものの、以前の生活にはまだ戻れていなかった2021年から2022年。
今年に入りやっと人々はコロナと共存できるようになったと感じる。
風邪にしろコロナにしろ感染すると辛いので、各々予防は今後もすべきだし、やはり健康が1番だと感じた怒涛の数年であった。