自己ベストを狙う!バレンシアマラソンの魅力

スペイン

Valencia Marathon(バレンシアマラソン)は、スペイン・バレンシア市で毎年開催される。World Athleticsのプラチナラベルロードレースにも指定されている、国際的にハイレベルで注目度の高いフルマラソン大会だ。2025年は12月7日に開催予定で、今年は日本の長距離界のスター・大迫傑選手も出場を表明しており、例年以上に注目が集まっている。

本記事では、世界6大マラソンの一つである東京マラソンとも比較しながら、バレンシアマラソンの歴史やその魅力について詳しくお伝えする。

自己ベストを狙う!バレンシアマラソンの魅力

   著者:スペインgramフェロー 北田ミヤ
公開日:2025年12月18日

バレシンシアマラソンの歴史・特徴

1981年に始まったバレンシアマラソンは、スペイン・バレンシア市で毎年開催されるフルマラソン(42.195km)大会だ。 コースはほぼ平坦で、海抜に近い最小標高はわずか4m。広々とした大通りや歴史的な街並みを通過するルートは景観の美しさでも高く評価されており、観光の視点からも魅力的だ。さらに12〜17℃という理想的な気象条件も相まって、記録を狙いやすい大会として知られている。2024年大会では、男子優勝者が2時間2分5秒という世界クラスの好記録を達成。参加者は約33,000人にのぼり、そのうち28,247人が完走した。平均完走タイムは全体で3時間39分12秒、男性は3時間33分30秒、女性は4時間ちょうどというデータが出ている。

また、サブ3時間で完走したランナーは5,078人にのぼり、全体の約17.98%を占める。特定層(男性45歳未満)に絞るとその割合は約29.2%に達し、記録を狙うランナーにとって理想的な大会とされている。こうした背景から海外からの参加者も多く、パーソナルベストを目指すランナーにとって魅力的な舞台となっている。

東京マラソンとの比較

東京マラソンは「世界6大マラソン」のひとつに数えられる、日本国内最大級の国際マラソン大会だ。 WMM(Abbott World Marathon Majors)の一員であり、世界陸連(World Athletics)から「Platinum Label Road Race」の認定も受けている。世界トップレベルの記録が生まれる場として、メディアの注目度も非常に高く、国際的なエリート選手が集う大会となっている。マラソン部門の参加者は約38,000人で、日本国内ランナーが多数を占める。非エリート枠の参加方法は抽選制で、数十万人が応募するほどの高倍率。なお、2026年大会からは定員が39,000人に拡大される予定だ。

一方、バレンシアマラソンも「Platinum Label Road Race」に認定されているが、WMMには含まれていない。 ただし、WMMの「年齢別世界選手権」の対象となる予選レース(Qualifying Race)として登録されている。東京マラソンが国内ランナー中心なのに対し、バレンシアマラソンは外国人参加者の割合が非常に高く、2024年大会では全体の63%を占めた。参加規模は30,000〜35,000人で、2025年まではビブ番号に応じた段階制の参加費(〜10,000番:80€、〜20,000番:120€、〜35,000番:180€)が設定されていたが、2026年大会からは定員35,000名に対し、抽選(バトル/ロッタリー方式)による出走権配分が導入されることが発表されている。

都市ランニングツーリズム

バレンシアマラソンは地域経済や観光にも大きな影響を与えている。 大会自体が”都市ランニングツーリズム”や”ランニング都市バレンシア(Ciudad del Running)”というコンセプトのもとに位置づけられており、国内外からランナーを呼び込む街づくりが積極的に進められている。ランナー向けには、早朝レースに対応した朝食やレイトチェックアウト、送迎バスなどがセットになったWelcome to Valencia滞在プログラムが提供されているほか、海外参加者向けには出走権付きの宿泊・交通手配を含む旅行パッケージも利用可能だ。

2024年大会では観光消費額が約3,990万ユーロに達し、前年から23.2%の増加が報告された。外国人ランナーの比率が高まったことで一人当たりの支出額も上昇傾向にあり、これが観光消費の増加を牽引したと分析されている。

まとめ

記録を狙うランナーにとって、バレンシアマラソンはまさに理想的な舞台だ。平坦でヨーロッパの古い街並みも楽しめるコース、安定した気候、そして国際色豊かな雰囲気が、走る楽しさと挑戦の意欲を同時に引き出してくれる。東京マラソンのような格式ある大会と比較しても、都市全体がランナーを歓迎する空気に包まれ、走ることが観光や文化体験と結びつく”都市ランニングツーリズム”の先進例としてバレンシアならではの魅力が光る。

自己ベストを更新したい人、世界のランナーと肩を並べて走りたい人、そして旅とスポーツを融合させたい人にとっても、バレンシアマラソンは一度は走ってみたい大会だろう。次の挑戦の舞台に、地中海の風が吹くこの街を選んでみてはどうだろうか。

【参考】
◇The Growth of the Marathon Industry: Trends to Watch – US Insider:
https://usinsider.com/the-growth-of-the-marathon-industry-trends-to-watch/

◇Valencia Ciudad del Running:
https://www.valenciaciudaddelrunning.com/

◇2024 Marathon Ranking · Valencia Ciudad del Running:
https://www.valenciaciudaddelrunning.com/en/marathon/2024-marathon-ranking/

◇Valencia Marathon Revisited: Comparison to Fast Races That Aren’t Majors:
https://runningwithrock.com/valencia-revisited/

◇東京マラソン2025/東京の観光公式サイトGO TOKYO:
https://www.gotokyo.org/jp/spot/ev161/index.html

◇World Athletics + | World Athletics:
https://worldathletics.org/worldathletics-plus

◇Abbott World Marathon Majors:
https://www.worldmarathonmajors.com/

◇Valencia Marathon 2025 | Valencia, Spain Marathon:
https://marathons2025.com/marathon/valencia-marathon

◇2025 バレンシアマラソン 2025.12.07 | 大迫傑 オフィシャルサイト:
https://suguruosako.com/?p=14952

北田ミヤ

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スペイン在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

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