「Samsung Galaxy駅」マレーシアの地下鉄に登場
マレーシアのクアラルンプールの主要鉄道であるMRTのTRX(Tun Razak exchange)駅が、サムスン電子の協力を得て、2024年2月29日「TRX Samsung Galaxy Station」と新たに命名されました。
1990年代後半以降、スポーツや文化施設など公共の施設等の名称に企業名を付ける命名権「ネーミングライツ」がビジネスとして確立し、徐々に増えつつあります。
今回は、この記事を中心にサムスンのアジアでの戦略について解説します。
「Samsung Galaxy駅」マレーシアの地下鉄に登場
著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2024年4月4日
地下鉄の内・外部をラッピング
サムスンが命名した駅は、首都クアラルンプールの金融やショッピングの中心となる「TRX」に接続する地下駅で、1日平均約38万人が利用していて、以前この記事でも紹介しましたが、日本の「SEIBU」が出店して、クアラルンプールで最もホットな話題になっている駅です。
サムスンはこの駅の駅名標だけではなく、この駅を通過する地下鉄の内・外部を彼らの最新の製品である「ギャラクシーS24シリーズ」と「ギャラクシーAI」のイメージ画像でラッピングし、SNSを中心に現地の注目を集めています。
変更された駅名は1年間使われる予定です。
ネーミングライツ
2023年10月、日本でもアース製薬が本社の最寄り駅である「JR神田駅」のネーミングライツを取得し、山手線の発車メロディを同社の主力商品の「モンダミン」のCM曲に変え、4つの出口にそれぞれ商品名を加え話題になりました。
東南アジア初の試みとして、マレーシアでも2023年から駅命名に対するネーミングライツのプログラムが始まっていて、官民の革新的で有益な相互パートナーシップが進み、通勤者にとってもより良いサービスや施設をもたらしています。
シェアで「アップル」に劣る
東南アジアではインドネシアやタイなどの主要な5つの市場で、スマートフォンの出荷台数は前年比では減少傾向にありますが、2023年Apple社の出荷台数は増加しています。
マレーシアの直近(2024年2月)のシェアでは、世界の動向と同様Appleが優勢で28%を超えていて、サムスンの15%を大きく引き離しつつあります。
サムスンはマレーシア事業に15億ドル(約2,250億円)以上を投資してすでに4つの製造施設をもち、約8,000人の従業員の雇用を生み出し、最大の市場にもなっています。
かつては圧倒的に携帯市場ではサムスンが優位でしたが、最近ではAppleに追い抜かれています。
サムスンのマーケティング戦略
ブランドの認知度を高めるため、サムスンではスポンサーシップとパートナーシップ関係の強化を推し進めています。さらに、顧客と継続的にコミュニケーションを行うために積極的にソーシャルメディアを活用しています。
30年近く前に出張で初めてマレーシアに訪れた時、空港内にはサムスンの広告がゲートからイミグレーションまで次から次へ現れ、空港からクアラルンプール市内までの高速道路の傍らにも、サムスンの巨大な広告塔が何本も立てられ、ライトで煌々と輝いていて衝撃を受けたのを今でも覚えています。
日本のブランドはマレーシアに工場を持っているにもかかわらず、あまり広告塔などを設置していませんでした。
今思えば、日本のブランドの凋落と韓国ブランドの躍進の端緒が既に見えていたようです。
アップルとの競争激化
サムスンはTRX内にすでに販売店をもっていますが、多くのマレーシア人は2024年3月開店予定の「Apple Store」を心待ちにしています。
現在、東南アジアで「Apple Store」があるのはシンガポールとタイのみです。
Appleは産業基盤がしっかりと整備され、教育水準も高く、優秀なエンジニアを輩出しているマレーシアを生産拠点として注目しているます。今後、サムスンとAppleの競争はさらに激化していきそうです。