BYD、自動運転EVバスで海外初の挑戦 

シンガポール

中国のEV大手・BYDが、シンガポールで「自動運転機能を搭載した電気バス」の実証運行を開始するという報道が先日明らかになりました。

この取り組みは、海外の公共交通システムにおける自動運転EVバスの採用が初めてという点で、特筆すべきものです。

今後の動向も含め、詳しく見ていきたいと思います。

(引用元:BYD-linked consortium wins Singapore contract to trial autonomous buses in public – The Business Times
https://www.businesstimes.com.sg/companies-markets/transport-logistics/byd-linked-consortium-wins-singapore-contract-trial-autonomous-buses-public

BYD、自動運転EVバスで海外初の挑戦 

   著者:シンガポールgramフェロー Malay Dragon 
公開日:2025年 12月17日

シンガポールから始まる「次世代公共交通」の実験

BYDは既に世界70以上の国・地域でEVバスを展開しているものの、自動運転との融合という次のフェーズはこれが初めてです。都市交通の姿が、少しずつ“未来形”へと動き出しています。

なぜシンガポールなのか

その舞台としてシンガポールが選ばれたのは偶然ではありません。

小国ながら交通管理が整備されており、政府が「スマートシティ」「グリーントランスポート」「脱炭素化」などを積極的に打ち出しているからです。

さらに、シンガポールの公共バスネットワークは約5800台規模とも言われていて、既に電動化・効率化のための制度的・技術的基盤が整ってきています。

つまりBYDの挑戦は「技術実証」だけでなく、「社会実装」へ向けた重要な一歩と捉えられているのです。

EV+自動運転で交通の再構築

電気バスそのものはもはや新しいものではありませんが、そこに“完全自動運転(レベル4相当)”が加わると、話は一段と大きくなります。

実際、契約書には「16席仕様、自動運転車両6台から開始、3年の試行期間」などの数字が明記されています。

バスという「決まったルートを走る/多数を運ぶ」公共交通であるがゆえに、自動運転との親和性も高く、運転手の確保・人件費・安全管理といった都市交通の課題を一気に軽減する可能性も見えてきます。

つまり、今回のプロジェクトは「人が運転する乗り物」から「運行インフラとして動く移動空間」へ、公共交通そのものを再構築する方向へ向かっているのです。

「技術の交差点」

私が暮らすマレーシアや隣国シンガポールで公共交通の変化を近くで見てきた経験から言うと、今回の動きは“遠い未来”の話ではなく、もう身近な転機だと感じています。

マレーシアではバスの設備や運行の安定性にはまだまだ課題がありますが、シンガポールではスマートバス停、キャッシュレス運賃、車両電動化など、毎年確実に変化が実感できています。そこに自動運転EVバスが加わると、都市の人々の移動風景が変わる日もそう遠くないと感じます。

技術は「便利さ」だけでは終わらない

今回のニュースを読んで私が感じたのは、単に『最新技術すごい!』で終わらせないことの大切さです。

例えば、このような自動運転バスは、高齢者・移動に制約のある人・地方の交通インフラが脆弱な地域にとって、移動の“選択肢”を増やす可能性があります。「どの街で」「誰が」「どう利用するか」を一緒に考えることが、技術を真に生かす鍵になります。

この観点から言うと、今回のBYDのプロジェクトは『誰のための移動革命か?』という問いを投げかけているように思います。

未来は静かに走り出している

BYDの今回の挑戦は、単なる技術実験ではなく社会インフラ全体を再設計する第一歩といえます。

運転席のないバスを「未来の雑誌の中の話」としてではなく、自分が暮らすアジア都市で当たり前に見る日を迎えようとしているのかもしれません。

ただしその変化を『便利だから』で終わらせず、自分が暮らす街・交通機関・言葉でどう関わるかを問うことこそ、学びの始まりだと思います。

クアラルンプールの渋滞に少しイラっとしたとき、シンガポールを走る16席の自動運転電動バスを想像してみると、かつて思い描いた未来はもう間近に来ていることを強く感じるでしょう。

Malay Dragon

48,668 views

マレーシア・シンガポール在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

プロフィール

関連記事一覧