培養肉ベンチャーが集るシンガポールの培養食材市場が抜きん出る!

シンガポール

シンガポールで活況を呈する培養食材市場。米国の新興企業Eat Just社の傘下のブランドであるGOOD Meatは2022年6月10日、シンガポールのベドックにアジア最大、広さ3万平方フィートの培養肉生産施設を着工した。年間”数万ポンド”もの肉を生産する予定と発表している。

2020年12月、Eat Justが製造した培養鶏肉「GOOD Chicken」のメニューが、シンガポールのレストラン1880店舗で提供開始となったことを記事で紹介した(https://global-biz.net/southeast-asia/singapore/clean-meat-202012/)。

今回はこのシンガポールにおける培養食材市場をアップデートする。

シンガポールで活況を呈する培養食材市場2022

著者:gram 福田 さやか 
公開日:2022年6月20日

GOOD MeatのGOOD Chiken

GOOD Chickenは、2020年12月にお伝えしたとおり(https://global-biz.net/southeast-asia/singapore/clean-meat-202012/)、レストランで販売され、提供される初の培養肉となった。提供元は、2011年に設立されたアメリカ・サンフランシスコのEat Just社である。

このEat Just社の傘下のブランドであるGOOD Meatは2022年6月10日、シンガポールのベドックにアジア最大の培養肉生産施設を着工した。オープンは2023年の第1四半期の予定で、広さは3万平方フィート、約50名の研究者、科学者、エンジニアが働き、年間”数万ポンド”もの肉を生産する予定と発表している。

2022年の培養肉の生産量は2,000ポンド

GOOD Meatの2022年の培養肉生産量は2,000ポンド(約900kg)未満であることから、大幅な生産増が見込まれている。ちなみに培養肉の栄養価は従来の鶏肉と同等だそうだ。

同社の培養鶏肉は、2020年にシンガポールで販売許可が下り限定的に販売されてきたが、今回は商業生産に向けた第一歩となる。同社は現在、米国とカタールで培養肉を販売するため、規制当局の承認を求めている。また、中国での養殖肉製品の発売も視野に入れている。

チキンナゲット1個のコストは約50米ドル

2020年にGOOD Meatが初めて発売した培養鶏肉を使ったチキンナゲットは、23シンガポールドルで販売されていた。Eat Just社は以前、チキンナゲット1個の生産に約50米ドルかかると述べている。
同社の目標は、2030年末までに培養肉のコストを従来の鶏肉のコストまで下げることであり、コストを下げたあとに更に大きな製造施設等を検討するとしている。

GOOD Meatは、今年中にシンガポール食品庁に養殖牛肉の申請書を提出する予定とのことだ。

まとめ

以前の記事で述べたように、規制を緩和しているシンガポールには、シンガポール発の培養食材企業や海外ベンチャー企業が集結し始めている。シンガポールは食材のほとんどを輸入に頼っており、培養食材への期待が高かったところに、コロナ禍で世界的な食料調達難が重なったことから、シンガポールではこうした技術への期待がますます高まっているといえるだろう。

世界をリードするシンガポールの培養食材市場は今後も注目していきたい。

福田 さやか

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gram パートナー&リサーチコンサルタント 【 経 歴 】 東南アジアに特化した高等教育支援NPO法人、慶應義塾大学大学院助教、国際会議支援会社、アジア専...

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