持続可能な貿易ランキングで総合3位|シンガポール
先日、スイスの国際経営開発研究所が「持続可能な貿易指数」の最新ランキングを発表しました。
シンガポールは総合3位となり、前回の総合5位から2ランクアップ、アジア地域では香港と日本を抜いて首位に立ちました。
そこで今回の記事では、今や世界を代表する貿易立国となったシンガポールの、貿易立国としての成り立ちから歴史、特徴について解説します。
持続可能な貿易ランキングで総合3位
著者:シンガポールgramフェロー Malay Dragon
公開日:2024年 1月19日
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「経済」「社会」「環境」の3項目で評価
この指数は「経済」「社会」「環境」の3項目で評価され、総合点でランキングがつけられます。アジアを中心とする30ヶ国を対象とし、70の項目で長期的な貿易の持続可能性を評価するものです。
経済では最高評価
「経済」指標では、経済成長を国際貿易で促進していく能力を評価されますが、シンガポールは100点満点を獲得し、前回の2位から1位に上昇しました。
中でも「関税・非関税障壁」と「製品・サービスの輸出」などの項目で高い評価を得ており、法制度や金融政策がしっかりと整備され、汚職の少ないクリーンな社会が評価されています。「貿易の自由度」では2位でした。
ただ「労働人口の伸び率」は、最下位から3番目の27位と低迷し、平均を下回る結果が出ています。
「社会」と「環境」でもランクアップ
「社会」指標では長期的な国際貿易の能力が評価され、前回から1ランクアップの8位でした。
「環境」では、持続可能な資源がどれだけ貿易部門において維持されているかが評価されますが、5ランクアップの5位でした。「排水処理」に関しては昨年に引き続き1位でした。
世界のハブ港
シンガポール港やその先に続く海を見ると、ほんとうにたくさんの貨物船が停泊しているのが目に入ります。コンテナの取扱量で世界2位、実に全世界の中継コンテナの20%弱を取り扱う、世界を代表するハブ港であるシンガポールの海運産業の発展を肌で感じることができます。
国土の狭いシンガポールが、なぜこのような海運産業の発展を可能にしたのでしょうか。
これにはシンガポールの「地理」と「歴史」、この2つに理由があります。
貿易中継地点として発展
貧しい寒村だったシンガポールにラッフルズが上陸して、イギリスの植民地となります。シンガポールはイギリス(ヨーロッパ)とアジア(中国が主)の貿易の中継地点として発展していきます。しかしその後、その重要性ゆえに、世界大戦の波に飲み込まれることとなってしまいます。
第二次大戦後、マレーシア連邦が結成されますが、シンガポールは追い出される形でマレーシア連邦からの離脱を余儀なくされ、独立します。
リー・クアンユー初代首相は、何もないシンガポールが生き残る方法として、海運拠点を強化し貿易立国とする政策を打ち出したのです。
税制優遇制度
1970年代に入り、シンガポールは税制優遇制度をはじめ、シンガポール船籍の船に対して優遇していきます。さらに、アジアのハブ港として港を整備し、海運の拠点として発展するようにさまざまな政策を実施していきます。
また近年ではITを活用することによって、各種手続きを簡略化・迅速化しています。さらに、24時間運営を実施し、関連する法令や規制を緩和、制定することで常に質の高い港湾サービスを提供できるよう、他の港湾との差別化を徹底して発展を図っています。
強みを生かす
東洋と西洋の貿易中継点であるという地理的な優位性を最大限に生かしたシンガポールは、海運産業と貿易を確立させ、国の経済を支える重要な柱を担っています。
さらに近年では、金融や情報サービスなどを発展させることで、驚異の成長を遂げています。
地理的優位性に加え、この優位性を活かすべく運営していく政府のたゆまぬ努力が、シンガポールの成長のもとになっているのは間違いないでしょう。