新しい時代に突入のベトナムで、求められるモノ・コトとは?

ベトナム

コロナ禍においては物流にもかなりの影響が出て、定期的に日本から物資調達をしていたベトナム在住日本人からも悲鳴があがっていました。一時期はベトナム自体が鎖国状態にあったため、通常EMSで数日で到着していた貨物も、航空便にもかかわらず3週間もかかって到着したり、首都ハノイの空港で長い期間停滞していたこともありました。こういった状況下では海外進出は難しいと考える企業が多かったかもしれませんが、その一方で逆にチャンスだと捉える企業もあったかもしれません。

新しい時代に突入のベトナムで、求められるモノ・コトとは? 

   著者:ベトナムgramフェロー Saigon A
公開日:2022年6月22日

もはや手に入らないものは無い時代

一般消費者の立場から様子をうかがっていたところ、不思議なことに、コロナ禍をきっかけにこれまでは日本への一時帰国でしか手に入らなかった商品がベトナムの店頭に並ぶようになりました。
現在は日本への一時帰国の際、日本到着時の隔離もベトナム帰国時の隔離も、条件付きではありますが緩和されつつあります。この夏には一時帰国を検討している人も多いようです。
一時帰国を終えた人々が何箱もの段ボールに入った日本での調達物資を抱えてベトナムに戻ってくる光景に、少し変化がみられるかもしれません。
というのも、現在ホーチミン市においては、日本人が必要とするモノのほとんどが手に入る環境にあるからです。

ホーチミン市内は日系のお店が立ち並ぶ

ホーチミン市内には、日系食材店やコンビニエンスストア(Family Mart)、百貨店(高島屋)、大手ショッピングセンターにホームセンター、100円ショップ(AEON、UNIQLO、無印良品、コーナン、ダイソーなど)があり、ローカルのスーパーなどと上手に使い分ければ手に入らないものは無いという時代が来ています。
お金をかけて日本に一時帰国して物資調達をせずとも、ホーチミンにいながらにして、在住日本人が困ることなく生活ができる環境となっています。ホーチミン在住歴が長い日本人にとってこの著しい変化は、この数年で昭和から令和までを一気に早送りで見たかのように感じられます。

その次のステップへ 

手に入らないものは無い時代になっても、欲が出てしまうのが人の性。
もう少し安く、日本の製品が手に入らないものだろうか…というのが主婦の本音。そんな主婦の声が届いたのか、立て続けにビッグニュースが!
ジャパンクオリティでありながらのローカル価格の商品が立て続けに発売されました。

●湖池屋 ポテトチップス「じゃがいも心地(GOKOCHI)」の発売

既に「カラムーチョ」や「コイムーチョ(日本の商品名「スコーン」)」を販売していた湖池屋さんがシンプルな塩味の「じゃがいも心地(GOKOCHI)」を発売し、Family MartやMini Stopなどでも大々的に販売され、日本人コミュニティで話題

画像引用:https://www.koike-ya.eu/product.html
●日清 インスタントラーメン「ラ王」の発売

これまでもベトナム人の好みに合わせたカップヌードルや辛いインスタント麺の販売はありましたが、ついに「ラ王」の袋麺(醤油・豚骨・味噌)の販売がスタート。これも日本人コミュニティで話題となり、売り切れ続出。

画像引用:https://www.nissinfoods.vn/nissin-raoh

日本の大手メーカーのポテトチップスもインスタント麺も、以前からホーチミンで購入できていました。では、なぜこの2つの商品がこれだけ話題になるのでしょうか。
それはこれらがジャパンクオリティの製品でありながら、現地工場での生産がローカルプライスでの展開を可能にしたからです。

販売店舗にもよりますが、
「じゃがいも心地(GOKOCHI)」は約100円
「ラ王」は約80円

で購入ができます。

日本から直輸入のカップ麺などは、日本円換算で500円ほどするものもありました。
これが現地生産→販売となると、現地の人でも手が出しやすい価格でありながら日本が誇るクオリティと味がベトナム国内に広まります。当然、在住日本人にとっては日本企業が作っている安心感、躊躇せずに購入できる価格であるため、店頭で見かければ手に取らずにはいられない商品となります。

インスタント麺の消費量が世界第3位

ベトナムは2021年8月の情報によると、インスタント麺の消費量が世界第3位。
世界ラーメン協会 (WINA)によると、ベトナム市場では2020年にインスタント麺の消費量が約70億3000万袋に達し、中国、インドネシアに次ぐ世界3位となりました。
インスタント麺の消費量の伸び率については、ベトナムが中国を上回っています。
コロナ禍において、世界のインスタント麺の消費量は大幅に増加し、2020年の消費量は前年比14.79%増となりました。特に中国や韓国、日本をはじめとする東アジアでの消費量は全世界の56.45%にも達しました。また東南アジア諸国の消費量は同25.24%で、主な消費国はインドネシア、ベトナム、フィリピン、タイ、マレーシアとなっています。

ニールセンベトナムの最新のレポートによると、ベトナム国内には外資企業も含め約50社がインスタント麺を製造しています。そのうち一部の企業は輸出量が前年比約300%増にもなりました。
(引用:2021年8月VIET EXPERTより)

まとめ

日本の高品質の製品に囲まれて育ってきた日本人にとっては、ベトナムでの生活においても「高くてもジャパンクオリティの製品を買いたい」という人も多くいたでしょう。しかし、「安いのにジャパンクオリティ」の製品がベトナムで入手できるとなると、在住日本人としては今後も様々な日本メーカーのベトナム進出にますます期待が高まります。

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